インボイス制度の影響
インボイス制度の影響
インボイス制度(適格請求書保存方式)は、特に2024年から2026年にかけて、フリーランスや個人事業主の「法人成り」や「廃業」の大きな判断材料となっています。
2026年現在は、制度開始時の激変緩和措置が一部終了するタイミング(いわゆる2026年問題)を控えており、新たな局面を迎えています。
1. 法人設立への直接的な影響
インボイス制度が始まってから、多くの個人事業主が「法人化」を選択しています。その主な理由は以下の2点です。
- 取引の維持: BtoB(対企業)取引が中心の場合、インボイスを発行できないと取引先が税額控除を受けられず、取引除外や値下げを要求されるリスクがあります。これを機に「どうせ課税事業者になるなら、社会的信用の高い法人にしよう」という動きが強まりました。
- 消費税免税のメリット再評価: 新しく法人を設立すると、資本金1,000万円未満であれば最大2年間、消費税の納税が免除される特例があります。制度開始後、この「2年間の猶予」をフルに活用するために法人化するケースが増えています。
2. 「2026年問題」と経過措置のステップ
現在、免税事業者からの仕入れであっても、一定割合を控除できる「経過措置」が段階的に縮小しています。
| 期間 | 控除可能な割合 | 買い手(取引先)の負担 |
|---|---|---|
| 2023年10月 〜 2026年9月 | 80% | 20%分を負担 |
| 2026年10月 〜 2029年9月 | 50% | 50%分を負担 |
| 2029年10月 〜 | 0% | 全額負担 |
ポイント: 2026年10月からは控除率が80%から50%へ下がるため、免税事業者のままではさらに取引上の立場が厳しくなると予想されます。
3. 2割特例の終了(2026年度まで)
免税事業者がインボイス登録をして課税事業者になった際、売上税額の2割を納めるだけで済む「2割特例」も、2026年(令和8年)分をもって終了します。
- その後: 簡易課税制度(業種に応じたみなし仕入率)や原則課税へ移行することになり、多くの小規模事業者で税負担が増加する見込みです。
- 影響: これにより、「これ以上事業を続けるのは難しい」と判断する層と、「法人化して規模を拡大し、コスト増を吸収しよう」と考える層への二極化が進んでいます。
現在の状況
インボイス制度は、単なる税制変更ではなく「事業の継続性や形態を見直すきっかけ」となりました。
- 増加: 取引維持のための法人化、消費税免除特例を狙った新規設立。
- 減少・廃業: 税負担や事務負担(記帳の複雑化)に耐えられない小規模事業者の引退。